本日は先に出版されていたコレクターズにする予定だったのですが、数少ない友人に貸しており手元にございません。ということで、今回は同じく西UKO先生の作品で『となりのロボット』の感想いきましょう。ちょっとだけ、ネタバレ&考察があります。

『私はロボットです―。今は、だいたい人と同じことができます』という冒頭のモノローグが印象に残る、とても素敵な短編です。

※この記事は5分あれば読めます。

となりのロボット 西UKO(○Twitter) 秋田書店

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忙しい人のためのとなりのロボットって、どんな本?あらすじ


・幼馴染みのロボット・ヒロ(外見は女子高生くらいに見える)に恋をする女子高生チカ。

・自分の気持ちを悩みながらも伝えるチカ。ヒロはロボットなりにチカを理解しようとし成長(変化)していく。

・そしてチカは17歳の思い出作りに、ヒロと初めての2人きりのデートに出掛けるのですが―。

人間とロボット、2人?の主人公

『チカ』(写真・左)

・ヒロに片思いする女子高生。トレードマークはリボン。ヒロがロボットであるということを理解しており、自分の想いに悩む。

『ヒロ』(写真・右。機体名プラハ)

とある研究機関に作られたロボット。チカや研究員を通じ、ロボットからより人間に近い存在に成長(変化)していく。

となりのロボットで好きなシーンと、そのセリフを考察

たくさんあって迷いましたが、あえて2つに絞って考察してみました。まずは、1話目ラストの3コマ目から。

ヒロ『データの保護は最優先事項だから大丈夫』

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※以降はネタバレを含むのでカラーを変えてます。本作品を読んでない方は飛ばしておkです。

※このセリフについて考察

このセリフって、『チカちゃんのことが好き(大切)だから大丈夫』という意味にも取れる気がします。1~8話目を通して見ると、ヒロは相手を好き(大切)という気持ちを上手く認識できてないんですね。私たち人間の様に感じた気持ちを、言葉で表現して伝えることができないようです(巻末の特別篇を除く)。

だから実はこの『データの~』というセリフは、ヒロができる精一杯の愛情表現(相手を好き、大切という表現)に近い言葉なのではと感じました。
試しに1話目のラストと最終話の『データの~』を『チカちゃんの~』に置き換えても、そこまで違和感がなかったので、もしかしたらそうなんじゃないかなと思ったわけです。

この時点でヒロは自分では認識(理解)できてないけれど、チカを特別に想う気持ちが芽生えていた様に感じました。


続いては2話目のラストから。

チカ『世界中でおこなわれてる、おまじないだよ』

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名シーン中の名シーン

ヒロが子どもの頃のことを覚えててくれてたのが嬉しくて、もしかして人に近い好きという感情があったのかもしれないと思うチカ。そしてお返しに薬指にリボンをするけれど、ヒロに伝わってなくて寂し気な表情。
でも、それでも『(いつかヒロに気持ちが届きます様に)おまじないだよ』←ヒロに対して、また自身にも言い聞かせる様なセリフ。こういう意味も含まれてると想像できるので、もー切なくて、もーもーもー。

最初読んだ時はヒロちゃんが薬指に指輪(ここではリボン)をはめる意味をわかってないのかなと思いました。
でも、4話目の2で『チカちゃんが知ってる社会常識はだいたい知ってる』と言ってたので、やっぱり好きとか恋愛に近い様な感情は、この時点ではヒロ自身は認識できていないのでしょう。ただ、ちゃんと、データの~というセリフで、ヒロなりにチカへ気持ちは伝えてはいるんですよね。上手く伝わらない2人の気持ちのすれ違いが寂しいけれど、切なくて印象に残った好きなシーン。

となりのロボット 感想

数ある百合短編集の中でもトップレベルの作品だと思います。ロボットであるヒロに悩みながらも想いを伝えるチカの言動や、それを受け止めてロボットなりに理解しようと試みるやり取りが温かくも切ないです。また、彼女たちに接する研究所の所員たちも、とても魅力的でした。

人間×ロボットとの恋愛をテーマにする作品は昔からありましたが、今回はそれにさらに百合成分が追加という形。その2つの要素が絶妙に表現されており、百合が必要と言う方もそうでない方が見ても損のない素敵な作品となっています。

何回読んでも新しい発見というか、考察しがいがある名作です。

~蛇足~

これで完結なのが惜しいくらいです。いつもの冒頭の名セリフから始まるチカとヒロの日常編が、もっと見たかったですね。
あと最高にツッコミたいのが『帯』のキャッチコピー。「女の子×女の子。人間×ロボット。むくわれない恋に落ちた二人の最高に純粋で―」、ここまではいいです。問題はその後

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アブナい・ラブレッスン←ほんこれ

こんな名作なのに、どうしてこんな表現に……。これを考案した人、OK出した人は次回から誠意を見せて欲しいと思います。そう、まずは誠意をこの上で……

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本日も最後まで閲覧いただき誠にありがとうございました(*´ω`*)
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